6年間大学で勉強を終え、国家試験に合格することで獣医師として働くことができるようになります。
卒業することも大事ですが、試験に受からなければ獣医師としてのスタートは切れません。
どの獣医大学も卒業研究が終わったあと、試験に向けて必死に勉強します。
わたしが6年生だった頃は、卒業研究の発表が12月下旬、国家試験が3月の初めだったので、実質の勉強期間は2ヶ月ほど。
大学によってはもっと早くに卒業研究が終わり、早くから勉強を始めているということを卒業してから聞いて驚きました。
先輩たちも約2ヶ月の勉強で合格してきているので、やるしかなかったのです。
わたしが受験したのは8年前の第61回獣医師国家試験。
必須問題という分野ができた最初の年です。
(必須問題はたしか一定の割合以上正解しないと、不合格になるような問題だったかな?)
前年との違いはありましたが、無事に合格したので獣医師の資格を持っています。
そんなわたしから、これから獣医師国家試験にのぞむ獣医学生さんに向けて、勉強法をお伝えします。
以前とは試験内容の違いはあると思いますが、試験勉強をする上での大事なことは昔と変わらないはずです。
きっと、先生や先輩に「みんなと同じように勉強しろ」「独りにならず大学にくるように」など言われるんじゃないでしょうか。
前置きが長くなりましたが、先生や先輩に言われて大事だったこと、わたし自身あらゆる試験で大事だと思うことを紹介します。
- 1.最初に試験に向けてのペース配分を決める
- 2.苦手な分野と間違えた問題部分はノートにまとめる
- 3.自分以外が解ける問題は必ずできるように
- 4.獣医師国家試験は単なる通過点。合格するための勉強をする
- 5.毎日必ず大学へ行き勉強する
- 6.規則正しい生活と体調管理をしっかりする
- 7.自分なりに楽しく勉強できる方法を考える
- まとめ
1.最初に試験に向けてのペース配分を決める
獣医師国家試験の問題の出題範囲はとにかく多いです。
獣医組織学、解剖学、生理学、薬理学、微生物学、病理学、環境衛生学、内科学、外科学、繁殖学、感染症学、毒性学、魚病学、食品衛生学・・・。
学ぶ範囲が多いので、実際大学ではあまり教えてもらえない分野もありました。
最初に参考書や問題集を見たときは、量の多さに驚くことでしょう。
でも、大丈夫です。
最初にどのくらいのペースで進めていくのかを大まかに決めておけば、あとはその通りにこなしていくだけ。
わたしの場合は、最初の1ヶ月で参考書を一通り読み切って理解するようにし、残りの1ヶ月で問題集と過去の試験問題を解きました。
特に大事なのは、過去の試験問題をどのタイミングで解くかです。
1年前の問題は試験日に近い時に解きましたが、それよりももっと早いタイミングで別の年の問題を解いておくといいでしょう。
おそらく解けない問題が多くあると思うので、もっと頑張らないといけないと焦ることになります。
長期間勉強することになるので、途中で焦りがあったほうが中だるみせずに済むはずです。
細かく計画を立てると失敗したときに立て直すのが難しいので、大まかに決めるといいですよ。
2.苦手な分野と間違えた問題部分はノートにまとめる
問題を解いていて間違えた部分は流さずに簡単にでもいいので、ノートにメモをしておきましょう。
6年間いろんな教科を学んだ中で、きっと苦手な教科が1つ2つくらいありますよね。
苦手な教科はおそらく間違えることが多くなります。
間違えた問題で特に苦手な分野は、問題に関連する知識も一緒にまとめておくと似たような問題で間違えなくて済みます。
わたしは覚えにくい部分は図やイラストを書いて、画像として覚えるようにしていました。
ただ、最初のうちから丁寧にまとめると時間がなくなるので、気持ちに余裕ができた時にやるといいですよ。
「間違えた問題があれば、ラッキー!」と思いましょう。
同じ問題、似たような問題があったときに、次は間違えないようにすればいいだけですからね。
間違えた問題にどう向き合うかは重要です。
3.自分以外が解ける問題は必ずできるように
獣医師国家試験は誰かと競うような試験ではありません。
一定の正解率があれば合格する試験です。
そのため、合格するには、多くの人が正解できる問題は絶対落としてはいけません。
では、どうやってその問題を知るのか。
同じ過去の試験問題を解いた後に、複数人で答え合わせをしましょう。
例えば3人で答え合わせをすると、2人は正解しているのに自分だけ解けなかった問題がいくつか出てくるはずです。
その時、たいてい2人は当たり前のように正解しています。
そういう問題は注意しましょう。
苦手な分野であるかもしれないですが、落としてはいけない問題である可能性があるからです。
その場でなぜ間違えたのかを考えるようにしてください。
もし理解できない時は、正解できた人に解説してもらいましょう。
解説する人も、人に教えることで知識をより確かなものにすることができるのでお互いにメリットがあります。
みんなが解ける問題を知っておくことも大事です。
4.獣医師国家試験は単なる通過点。合格するための勉強をする
試験に合格するための勉強をしましょう。
危険なのは試験に出そうにないところを掘り下げてどんどん勉強することです。
深く勉強することは大事です。
ただ、1つの分野に対して深く勉強しすぎてしまい、他の分野の勉強がおろそかにならないように気をつけましょう。
獣医師になってからも勉強すべきことはたくさんあるので、とにかく今は試験のことだけを考えることが大事です。
そのためには、参考書や問題集、過去の試験問題を使い、みんなと同じように勉強しましょう。
5.毎日必ず大学へ行き勉強する
自宅で勉強しようと思う人もいると思いますが、大学へ行った方がいいです。
わたしも大学へ行って勉強していたので、はっきりそう言えます。
教室、図書館の方が雰囲気もあり、集中して勉強できます。
また、友達が勉強している姿を見ることで、自分もがんばらないといけないと感じることもできます。
なにより大学に行くことで情報収集することもできるのです。
わたしの大学は、1学年30人ちょっとのメンバーで6年間一緒に大学生活を送ってきたので、基本的にだれとでもしゃべれます。
なので、だれかに会うと語呂合わせなど覚え方などの情報が流れてきました。
同級生だけでなく、先生や大学院の先輩も会うと励ましてくれました。
卒業生や後輩も息抜きに食事に連れて行ってくれたり、炊き出しをしてくれたりと全員が合格できるように応援してくれました。
勉強するため、モチベーションを保つため、みんなと同じように勉強するために大学に行くことは大事です。
2つ上の先輩で国家試験に落ちてしまった人がいました。
ふつうなら落ちると恥ずかしくて大学に顔を出しづらくなるのですが、その先輩は浪人中もずっと大学に来ていました。
1つ上の先輩たちが勉強を始めたときは、そこに混ざって勉強をしていました。
そして、その先輩は1つ上の先輩たちと同じ年に見事合格しました。
1人にならずに大学に来て試験を受ける人たちに混ざって勉強したことが合格につながったんだなぁと感じました。
大学ごとに雰囲気が違うと思いますが、なるべく大学に顔を出すなり、一緒に試験を受ける人に会うなりした方がいいと思います。
6.規則正しい生活と体調管理をしっかりする
勉強は長期にわたります。
毎日夜遅くまで勉強をするのはやめましょう。
わたしは大学に通ってた時と同じように早起きして大学へ行き勉強。
夕食くらいの時間には帰宅し、夕食を作って食べ、少し勉強したら夜ふかしせずに寝るようにしていました。
勉強時期が1月2月と真冬なので、体調管理が重要です。
インフルエンザ、風邪など体調を崩してしまうと、勉強時間も減ってしまいます。
そのため、規則正しい生活が必要です。
試験も朝からのスタートなので早起きに慣れておく必要もあります。
勉強期間中に早寝早起きの習慣を身につけるようにしましょう。
7.自分なりに楽しく勉強できる方法を考える
試験まではとにかく勉強、勉強なのでつらく感じるかもしれませんが、楽しく勉強できるといいですよね。
わたし自身はもう一度試験を受けろと言われたら正直無理ですが、当時は楽しく勉強できていました。
研究室での仕事が忙しくてつらい時もあったのと、卒業研究が楽しいわけではなかったので、勉強だけしてればいい2ヶ月間は案外楽だったんですよね。
それに、研究室に入ってからあまり話す機会のなかった同級生とも会う機会も増えて楽しかったというのもあります。
勉強自体も友達とだいたいのペースを決めて、過去の試験問題を解いたら集まって答え合わせをしていたので、そういう時間はとても楽しい思い出でした。
試験後も楽しみがいっぱいあったので、未来を想像すると楽しかったです。
試験後の楽しみのためにモチベーションも維持できた気がします。
楽しく勉強する方法、試験後の楽しみを見つけて進んでいきましょう。
まとめ
獣医師国家試験の勉強で大事なことをお伝えしました。
勉強期間に限らず、この7つについて一度考えてみてください。
・最初に試験に向けてのペース配分を決める
・苦手な分野と間違えた問題部分はノートにまとめる
・自分以外が解ける問題は必ずできるように
・試験は単なる通過点。合格するための勉強をする
・毎日必ず大学へ行き勉強する
・規則正しい生活と体調管理をしっかりする
・自分なりに楽しく勉強できる方法を考える
獣医師国家試験に限らず、大学受験、その他の資格試験などにも共通することが多いです。
わたしもFP3級や色彩検定3級を受けたときは、間違えた問題はしっかり見直し、合格するための勉強をし、規則正しい生活を心がけました。
もちろん、どちらも楽しく勉強しましたよ。
この記事を読んでくださったあなたが、獣医師国家試験あるいはその他の試験に合格することを願っています。
農林水産省のサイトでは過去の試験問題が開示されています。
参考にどうぞ ➤獣医師国家試験:農林水産省
いま問題を見ると、小動物臨床以外はまったく分かりませんね(笑)!