獣医さんのイメージってどんな風でしょうか?
動物を助ける職業、それなりに勉強も必要な職業ということもあり、「すごい!尊敬する!」というイメージを抱きますよね。
わたしも子どもの頃は、飼っていた犬を治療してくれた獣医さんに憧れを抱いていました。
好きな動物に囲まれて、楽しい職業なのかなぁと思っていました。
しかし、他の職業と同じように、楽しいことばかりではありません。
つらいこともたくさんあります。
他の職業に共通することもありますが、実際に獣医にならないと分からないつらいこともあります。
・獣医になることを目指しているあなた
・大学を卒業したら動物病院で働こうと思っているあなた
・ペットを飼っていて動物病院に通ったことのあるあなた
そんなあたなに、獣医がどんなことをつらいと思っているのか、少しでも知ってもらえると嬉しいです。
※個人的な考えの部分も含まれます。また、獣医にも公務員や製薬会社などで働く人もいますが、この記事では近所によくあるような動物病院で働く獣医のみの内容です。
- 診察する動物の種類はさまざま
- 専門分野のみの病院が少ない
- 動物相手なのでケガをすることが多い
- 治療がうまくいかない時はつらい
- 状態が悪い動物がいると常に心配になる
- 動物の末期の時の姿を見るのは慣れない
- 安楽死をしなければいけない時
- 飼い主との信頼関係が築けないとかなりストレス
- 忙しい病院だと体力的にもしんどくなる
- 最後に
診察する動物の種類はさまざま
多くの病院は、犬と猫がメインですよね。
猫は品種によって、サイズや形に大きな違いはないです。
しかし、犬はチワワやトイ・プードルのような小型犬もいれば、ゴールデン・レトリーバーや秋田犬のような大型犬と、サイズや形がバラバラです。
チワワと秋田犬では、動物に対する扱い方も違えば、かかりやすい病気の種類も違います。
そして、病院嫌いで怒るような動物の場合、チワワくらいのサイズなら女性でも対処できますが、秋田犬が暴れようなら女性には対処が難しいです。
それに加え、ウサギ、ハムスター、フェレット、インコ類など診察対象としている動物が増えれば増えるだけ、勉強しなくてはいけないことが増えます。
病院によっては、ウサギなどの動物が得意でなかったり、診察を断ったりするようなところもあります。
わたしが勤めていたところは、ウサギなども来ることが多かったので、ウサギなどの診察をたくさん経験することができました。
診察しなくてはいけない動物が多くて大変なこともありましたが、いろんな動物を診察できたことは良い経験になったのかなぁと思います。
専門分野のみの病院が少ない
動物病院は、基本的にどんな病気の動物も来院するということが多いです。
人の医者のように、皮膚科や眼科や内科など専門的にやっている動物病院はまだまだ少ないです。
都会や大学の病院なら専門科もそれなりにあるのですが、地方の病院は基本的に専門科がありません。
なので、皮膚病を診ることもあれば、腎臓の疾患を見ることもあるし、がんを診断することもあります。
しかも、動物は痛いところをしゃべって教えてくれません。
皮膚が悪い、眼がおかしいといって連れてこられた場合も、実は他に大きな病気をかかえているなんてこともあります。
動物のからだ全部をしっかり診ないといけないです。
「病気×動物の種類」分の勉強が必要になります。
動物相手なのでケガをすることが多い
フレンドリーで、検査や治療に協力的な動物はいいんです。
ただ、多くの動物は動物病院は病気が治って楽になるところなんて思ってはくれません。
そして、なるべく動物が痛くならないように、短時間で終わらせるためには「保定」という、動物をおさえる行為が必要です。
獣医は動物が好きな人が多いと思いますが、動物側から見ると敵になってしまうことが多いです。
動物は敵から身を守る手段として、かみつく、ひっかくということをしてきます。
それは仕方のないことです。
慣れないうちは、動物がどんな風にどんなタイミングで攻撃してくるのか分からないことも多いので、ケガも多くなります。
これは、獣医だけではなく、一緒に働く動物看護師さんもそうですね。
治療がうまくいかない時はつらい
治療がうまくいって、動物が元気になり、飼い主も喜んでくれるのが一番嬉しいです。
しかし、すべての動物が同じように治るわけではありません。
個体差もありますし、飼い主が治療に協力的でない場合もあります。
また、いろいろな理由でしっかり診断ができず、根本的な治療ができない場合もそうです。
時間が経つごとにどんどん状態が悪くなっていく姿を見るのは心が痛みます。
状態が悪い動物がいると常に心配になる
治療の効果が出ずどんどん悪くなっていく動物、手術した後の動物など、家にいる時なども常に心配になってしまいます。
できる限りの治療をして、もう他にやれることがない時、心配したからってすぐに治るわけではありません。
治療というのは、もちろん治すための治療もありますが、ほとんどは動物自身の治癒力を助ける治療だと考えています。
やれることをやったら、あとは「がんばってね」と声を掛けてなでることしかできないです。
心配ばかり続くと、やはりだんだん心も疲れていきます。
動物の末期の時の姿を見るのは慣れない
いろんな病気の末期の姿は、動物自身もつらいと思います。
でも、必死にがんばろうとする姿があります。
つらい状態が長く続いているのを見るのは、何度見ても悲しくなります。
もちろん、長年一緒に暮らしてきた飼い主さんの気持ちはもっとつらいでしょう。
そんな飼い主さんの姿を見るのもつらくなります。
わたしに何ができるんだろうと考えますが、できることって少ないですね。
安楽死をしなければいけない時
動物の場合、飼い主の意向により安楽死の選択ができます。
いろいろな理由で安楽死を希望されることがあります。
納得できない時はしっかり話し合いもします。
動物も飼い主も限界にきている時は必要な選択です。
自分の手でやりたくないと思ってしまいますね。
ただ、安楽死は麻酔薬を使ってゆっくり眠るようになるよう行います。
それでも悲しいことに変わりはありません。
飼い主との信頼関係が築けないとかなりストレス
獣医の治療の相手は動物ですが、その先には飼い主がいます。
結局は人間相手の仕事なので、人間関係が一番ストレスになることが多いです。
どんな仕事でもお客さんにはいろんな人がいるので、対応に苦労することありますよね?
自分と波長が合う人、自分を信頼してくれる
人、自分を好きになってくれる人、共通点がある人との付き合いは楽です。
また、楽しいので癒しになります。
一方で、同じように対応していても波長が合わない人、なかなか信頼してくれない人はやりづらいです。
そういう人相手だと、同じように治療していてもうまくいかないことがあります。
また、ちょっとしたことでイライラする人、クレームを言ってくる人もいます。
冷静に、心穏やかに対応するように心がけますよ。
でも、獣医も同じ人間です。
100%天使にはなりきれないこともあります。
どんな仕事も人間関係は大変ですよね。
忙しい病院だと体力的にもしんどくなる
常に待合室に人がいるような忙しい病院の獣医は次々と診察を行っていかなければなりません。
待ち時間が長くなると、イライラする人も現れ、クレームの元になります。
忙しい時はしっかりと診察しながらも、うまく回せるように優先順位をつけつつ、複数の動物の診療を同時進行でこなす必要があります。
テキパキと進めていかないと、動物や飼い主さんの待ち時間も増えストレスがかかるからです。
そして、わたしたちも診察時間内に終わるようにがんばらないと、休憩が取れなくなるし、帰るのもどんどん遅くなります。
休憩が取れずお昼が食べれなくて、空腹状態でまた次の診察をこなしていくなんてこともありました。
特に春なんかはどこの病院も忙しいことが多いです。
理由は、犬の狂犬病の予防接種の期間が4月~6月ということ、蚊が媒介して感染するフィラリア症の予防がスタートする時期だからです。
わたしが勤めていた病院は、この時期以外にも忙しい時期が2回ほど存在します。
これらの忙しい時期は体力的にしんどい時がありましたね。
そして、うまく回していくために頭も使うし、忙しさで周囲もイライラするので精神的にも疲れることが多かったです。
最後に
いろいろとつらいことを書きましたが、楽しいことも充実感もたくさんありましたよ。
働いて経験を積んでくうちに、動物に対して、人に対しての向き合い方も分かってきます。
憧れや理想とのギャップに1年も働かずに辞めていく人もいますが、先にこんなつらいこともあるんだと知っておいてください。
もしかしたら、もう少しがんばってみようかなぁと思うかもしれません。
ペットを飼っているあなた、これを読んでどう感じたでしょうか。
がっかりする部分もあったかもしれません。
何か感じること、思うことがあったかもしれません。
最後まで読んでくれたのなら、いま通っている動物病院の獣医さんとの付き合い方について少し考えて欲しいなぁと思います。
では、長々と最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
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