猫を動物病院に連れていく際は、猫が移動中に外に脱走しないようにするため、動物病院で他の動物を見た時に驚いて逃げ出さないようにするため、キャリーが必要です。
キャリーは猫の安全を守るものでもあります。
猫のキャリーといっても今はたくさんの種類のキャリーが存在します。
実際どれを選んだらいいのか、猫を初めて飼うあなたには難しいですよね。
そんなあなたに、獣医師の睦月とら子(@torako)がキャリーを選ぶポイントを7つお伝えします。
そして、7つのポイントを元におすすめのキャリーを4つ紹介します。
ぜひ7つのポイントをキャリー選びの参考にしてくださいね。
記事の最後では、わが家で使っているキャリーも写真付きで紹介しています。
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猫のキャリーを選ぶ7つのポイント
丈夫である
猫の寿命は長いと20年近くあります。
猫が若いうちは病気も少ないですが、年をとってくると何かしらの病気になることがあるでしょう。
病気になってしまった時はどうしても動物病院へ通う頻度が増えます。
そのため、何度使っても壊れにくいもの、長持ちするキャリーを選びましょう。
布製品のものは、猫の性格によっては猫が爪でひっかいたり、かみついたりすることで破れてしまうことがあります。
なので、どちらかというとプラスチック製のものがおすすめです。
ただ、プラスチック製のものは布製のものに比べると重たく、特に女性にとっては運びづらいというデメリットもあります。
もし布製のキャリーを使う場合は、洗濯ネットの中に猫を入れてからキャリーに入れるといいかもしれません。
爪でひっかくなどキャリーを破られるリスクを減らすことができます。
また、災害時のことも考えると丈夫なキャリーの方が猫の安全も確保できるので耐久性は重視しましょう。
通気性がよい
夏は長時間せまいキャリーの中にいると蒸し暑くなってしまいます。
そのため、猫がキャリーの中で熱中症になる可能性もゼロではありません。
多くのキャリーは通気性をよくするために、一部分が格子状やメッシュ状になっています。
よほど長時間熱い車の中にねこを置いておくことをしない限りは問題ないでしょう。
心配な場合はキャリーの中あるいは外に保冷剤を入れるなどの対策をするといいですよ。
洗いやすい
動物病院へ行く、注射をうたれるなど恐いことが起きたときに粗相をしてしまう猫がいます。
トイレシートやタオルなどをキャリーの下にひいて対策をしても、中で猫が動いてシートなどがずれてしまうことがあります。
そうするとキャリーがおしっこやうんちで汚れてしまいます。
一度粗相をしてしまうと、それ以降も同じことが起こるたびに粗相をしてしまうことがあります。
そんな時に、キャリーがすぐ洗えるものの方が都合がよいです。
汚れやにおいが染みついたままのキャリーは衛生的にも良くはありません。
また、猫はきれい好きです。
そのため、自分の排泄物のにおいがする場所に閉じ込められていることを不快に感じるでしょう。
人間側からしても、臭いキャリーが家の中にあるのは嫌ですよね。
ですので、衛生面でも自分が管理しやすいものを選びましょう。
中の様子が確認しやすい
病気で通院していて、時間が経つごとに猫の状態が悪くなってしまっている時、キャリーを開けなくても中にいる猫の様子が確認しやすい方が都合がよいです。
なぜなら、診察を待っている間に猫の様子がおかしいと思ったときに、すぐに病院のスタッフに伝えることができるからです。
もちろん、元気な猫の場合でも、キャリーの中で暴れてしまって爪などから出血してしまった時、いろいろなストレスで調子が悪くなってしまった時に、中の様子が確認できればすぐ対処することができます。
ここで、先ほど「キャリーを開けなくても」と書いたことには意味があります。
もし、外や病院の待合室でねこの様子を確認しようとキャリーを開けると、猫が脱走する恐れがあるからです。
猫は慣れていない場所では、わたしたちが思いもしない行動を起こすことがあります。
もし、外へ逃げてしまったら、もう二度と会えなくなるかもしれません。
なので、猫の突発的な行動を考えると、キャリーを開けなくても中の様子が確認できるものがおすすめです。
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組み立てが簡単
プラスチック製のキャリーの一部に分解できるタイプのものがあります。
分解できるキャリーは、中にいる猫が全く出てこない時に分解して出せるということがメリットです。
この時、分解と組み立てが簡単にできるキャリーの方が便利ですね。
例えば動物病院にて、キャリーを分解して猫を出し、診察が終わった時のことを考えてみましょう。
なかなかキャリーを組み立てれず時間がかかってしまうと、猫は早くキャリーの中に逃げ込みたいのに逃げれない。
飼い主がキャリーを組み立てている時間は猫にとってはストレスでしかありません。
キャリーの種類によっては、わたしたち動物病院のスタッフでも組み立てに時間のかかるものがあります。
プラスチック製の分解可能なキャリーを選ぶ場合は、自身が組み立てれそうなものにしましょう。
猫を出しやすい
必要な時に自分でキャリーから出てくれる猫の場合はいいのですが、ほとんどの猫は自分からは出てきません。
出てこない場合、キャリーの中に手を入れて出したり、キャリーをななめに傾けて出したりします。
この時キャリーから出たくないと猫は必死に抵抗することがあります。
必死に抵抗する猫はキャリーの扉に手足をひっかけます。
そして、無理に出そうとすると爪が割れてしまうなどのケガをしてしまうことも。
こうならないように、猫を出しやすいキャリーが理想なんです。
例えば、上に扉がついていて上から猫を出せるキャリー、扉が2ヶ所以上ついていてどれかの扉から猫を出せるキャリーなどですね。
上に扉がついているキャリーは、扉の大きさにも注目しましょう。
なるべく扉が大きい方が猫は出しやすいですよ。
猫をキャリーに入れる時は多くの場合、動物病院へ連れていく時です。
獣医師の立場からも猫を出しやすいキャリーの方が都合が良いのと、猫自身への負担も減らせるため、ぜひこのポイントは重視して頂けると嬉しいですね。
キャリーの上部をはずすことができる
これは一部の分解できるキャリーのことですが、上部をはずすことで生まれるメリットがあります。
先ほど書いた猫を出しやすいということもメリットの1つです。
さらにもう1つは、動物病院で注射などの処置がしやすいこと。
上部をはずした後も恐がりな猫はキャリーの中でじっとすることが多いです。
これは、上部がなくなってもキャリーの中に隠れているという気持ちになっているからです。
このキャリーに隠れている状態でわたしたち獣医師は注射などの処置をすることができます。
バスタオルなどで視界をふさいであげると、より安心できる猫もいます。
猫にとって嫌な処置はなるべく短時間で終わらせる方が、お互いにケガもストレスもなくて済みます。
そのため、上部をはずせるキャリーは、動物病院側の立場からも都合の良いものです。
おすすめの猫のキャリーを4つ紹介
では、実際どんなキャリーがおすすめなのか、その一部を紹介します。
今回はプラスチック製の4つのキャリーについて簡単に説明します。
まずは、リッチェル キャンピングキャリーです。
このキャリーは扉が2ヶ所あるのと、分解して上部を取り外せることがメリットです。
横についている扉は左右どちらからも取り外しができます。
さらに、左右ともに取り外せば扉自体を取り去ることができます。
そのため、組み立て時も、本体を組み立てた後、最後に扉をはめることができるが嬉しいポイント。
扉が片方しかはずせないタイプのキャリーは、組み立ての時に扉も同時に取りつけながら組み立てるのですが、これが結構やっかいなんですよね。
リッチェルのキャンピングキャリーについては、【獣医師が教える】猫用キャリーはリッチェル製品が扱いやすくて便利 の記事も参考にしてくださいね。
続いては、アイリスオーヤマのドライブペットキャリー です。
上のリッチェルのキャリーに似たタイプのキャリーです。
横の扉は似たような感じですが、上の扉の開閉向きが異なります。
開閉向きによってそんなに大きな違いはないでしょう。
こちらのキャリーの方が色の種類が豊富なのがポイントです。
次は、リッチェルのピコキャットキャリーです。
リッチェルの丸みをおびたタイプのキャリーです。
キャンピングキャリーに比べるとこちらの方が軽くて女性には持ちやすいでしょう。
扉は上のみですが、このキャリーも上部を簡単にはずせるので便利です。
最後は、アイリスオーヤマのメッシュペットキャリー です。
使っている人が多いキャリーの1つですね。
下の部分がメッシュ状なので通気性が良いのと、中の様子が確認しやすいです。
扉の片方は小物入れになっているのも特徴的で、薬や診察券や首輪などを入れている人もいますね。
このキャリーも軽いので女性には扱いやすいと思います。
ただデメリットとしては、扉の接続部分がやや壊れやすいことです。
また、リッチェルピコキャットキャリーとメッシュペットキャリーは体重の重いねこを入れる時は注意が必要です。
重力がハンドル部分にかかってくるので、かなり太っているねこを入れる時は壊れないか心配になります。
動物病院でこういったキャリーを運ぶときは、念のためキャリーの底を手で支えながら運ぶようにしていました。
他にも今はペット用のキャリーは数えきれないくらい種類が豊富です。
リュック型のキャリーも増えてきました。
リュックタイプは猫を出すときはちょっと大変なときもあるのですが、背中で背負えるので、飼い主の両手がフリーになるので、女性の飼い主さんにとっては便利ですね。
すべてのポイントを満たすのは難しいかもしれませんが、あなたと猫に合ったキャリーを探してみましょう。
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わが家の猫のキャリーの紹介~リッチェルキャンピングキャリー~
わが家で使っているキャリーはリッチェル キャンピングキャリー ダブルドア S です。
猫も女の子なので色はピンク色を選びました。
扉は手前と上の2ヶ所についています(写真左)。
手前の扉は左右どちらからも開けることができるのと、完全に取り去ることができます(写真右)。
猫用ベッドとして自宅で使用するのもいいかもしれませんね。
キャリーを分解すると3つに分かれます。
本体部分の上下を分けるには4つのつまみをはずすだけなので簡単です。
組み立ても本体を作ってから最後に手前の扉をはめるだけなので時間がかかりません。
リッチェルのキャンピングキャリーについては、【獣医師が教える】猫用キャリーはリッチェル製品が扱いやすくて便利 の記事でも紹介しています。
わが家の猫、キャリーの写真を撮ろうとしていたら、どこからともなくやってきました。
キャリーの周りをうろうろしながら撮影範囲に入ってきます。
キャリーを分解するとキャリーの中へ入っていき、座りました。
猫が入るとこんな感じ!というのが伝わるのでちょうど良かったです。
ちなみにわが家の猫が自然にキャリーの中に入ってくるのは、キャリー自体を恐いものと思っていないからでしょう。
こちらの記事でキャリーの慣らし方についても書いているので、良ければ参考にして下さいね。
最後に
キャリーを選ぶ7つのポイントについて紹介しました。
実際は、人によって、猫によって選ぶポイントは様々でしょう。
ただ、猫を飼い始めたばかりの人にとっては、どれを選んだらいいのか迷うところですね。
まずは今回紹介した7つのポイントを基本として考えてみてください。
そして、丈夫で使いやすいキャリーの1つとして、今回紹介したキャリーも候補に考えてみてくださいね。
使い勝手が悪い、別タイプのキャリーも試してみたいという場合は、違うキャリーも使用してみて、状況ごとにキャリーを使い分けるのもいいでしょう。
動物病院に連れていく際は、猫の安全のためにもキャリーは必要です。
あなたとあなたの猫に合ったキャリーが見つかるといいですね。
最後まで読んで下さってありがとうございました。
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