「 ワクチンを打ちに病院へ連れていかなきゃ」
「ここ最近ねこの調子が悪いから病院へ連れて行こう」
そう思ってキャリーをごそごそと準備し出した途端、あれ?ねこがいない。
キャリーを見た瞬間猛ダッシュで走り去っていき、隠れてしまう、見つからなくなってしまうなんてことありませんか?
そうこうしている間に病院の予約時間に間に合わなくなってしまうなんてことも。
原因は、キャリーが出てきた=病院(嫌いなところ)へ連れていかれると、ねこが認識してしまっているからです。
つまり、キャリー=恐いものと覚えているのです。
では、どうしたらねこがキャリーに慣れてくれるのでしょうか。
それは、キャリー=恐くないもの、安心安全なものと認識させればいいのです。
でも、ねこを飼うのは初めて、ねこの扱いが不慣れなあなたはどうしていいか分かりませんよね。
その具体的な方法はこちらです。
1. キャリーを常に部屋のすみに置く
2. キャリーの扉を常に開けておく
3. ねこが必ず行くところにキャリーを置く
4. キャリーの中に楽しみをつくる
それでは、この4つのステップをふまえ、ねこをキャリーに慣らす方法を獣医師の睦月とら子(@torako)が、詳しくお伝えします。
是非あなたもお試し下さい!
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爪切りに悩んでいるあなたはこちらを参考に▼
なぜねこはキャリーを恐がるのか
最初にキャリーを見たときのねこの反応を覚えていますか?
恐がりなねこは初めて見るものを警戒して近づかないことがあります。
でも、好奇心旺盛なねこは初めて見るものに興味を示し、匂いを嗅いだり、キャリーを運ぶ飼い主のあとをついていったりします。
初めの頃は、キャリー=恐いものと認識しているねこは少ないです。
では、なぜキャリーが恐いもの、嫌いなものになるのでしょう。
ねこをキャリーに入れる必要がある時、多くは動物病院へ連れていく時でしょう。
動物病院での知らない動物の匂いや鳴き声、ワクチンなど注射、爪切りなどの処置、不妊去勢手術などは、ねこにとって恐い体験となることが多いです。
また、無意識にやっている行動もキャリー=恐いものという認識をねこに植え付けています。
例えば、動物病院にねこを連れていこうと思った時、押し入れなどにしまっていたキャリーを突然出してねこを捕まえようとしていませんか?
この行動が、ねこをよりキャリー嫌いにしています。
キャリーが突然出てきた時は恐いことが起こるため、キャリーを見た瞬間逃げてしまうようになります。
いろいろな過去の記憶がキャリーを恐いものと強く結びつけているわけです。
インコのしつけ本を2冊紹介~行動分析学の基本も知れておもしろい~ の記事では、インコのしつけの本を紹介しています。
ここで紹介しているインコの行動の考え方はねこがキャリーを恐がる考え方と共通するものです。
そのため、こちらの記事も一緒に読むとより理解が深まるかもしれません。
猫をキャリーに慣らすことのメリット
もし、ねこをキャリーに慣らすことができたとしたら、どんなメリットがあるでしょうか。
まず1つは、動物病院へ連れていく際の準備時間が短縮できます。
ねこがサッとキャリーに入ってくれれば、すぐに準備も整い出かけることができます。
2つ目は、ねこも人も嫌な思いをしなくて済みます。
無理やりキャリーに入れられたねこは、キャリーの中にいる間ずっと恐い思いをし、かなりのストレスになっているでしょう。
また、飼い主側もキャリーにねこを入れるために、ねこに噛まれたり、ねこに引っかかれたりするとキャリーにねこを入れることがストレスになります。
ねこがキャリーに慣れてくれれば、お互いに嫌な思いをすることが減ります。
最後にキャリーに慣れてくれることのメリットは災害時にあります。
もし災害に遭い、ねこを連れて避難する際にねこがキャリーにおとなしく入ってくれれば移動もスムーズにできます。
また、キャリー=安心安全なものとねこが認識して、キャリーの中で静かに待つことができるようになれば飼い主も安心できるのではないでしょうか。
ねこをキャリーに慣らすことができれば、ねことの関係性も良好に保て、ねこのストレスも減らすことができます。
猫にキャリーを慣れさせる方法
では、実際にどのようにねこをキャリーに慣らしていくのかお伝えします。
すぐにはキャリー=恐くないもの、安心安全なものと認識できない時もあるので、簡単なことから徐々に行っていきましょう。
1.キャリーを常に部屋のすみに置く
まず始めに、キャリーを押し入れや物置などねこの目が届かないところにしまうのをやめましょう。
キャリーはねこが生活する部屋に置き、ねこの目に入るようにします。
キャリーをねこにとってテーブルやイスと同じように生活空間にずっと存在するものと認識させます。
まずはねこの生活に支障のない程度に部屋のすみにそっと置きます。
キャリー=突然出てくるものではなく、キャリー=常に存在するものとして認識させることが第一歩です。
2.キャリーの扉を常に開けておく
インテリアの一部として溶け込ませたあとは、キャリーの扉を常に開けておきましょう。
ねこは狭いところに入り込むのが好きな動物です。
例えば、段ボールの中に入り込んで寝たり、紙袋の中にダッシュで入り込んだりするところを動画などで見たことありませんか。
それと同じようにキャリーの存在になれてくると、好奇心から中に入るようになることがあります。
そして、ねこがキャリーの中に入った場合は決して扉を閉じることはしないで下さい。
キャリーに慣れてもらうには、中に入っても恐いことはない、すぐにキャリーの外にも出られる、ねこが自然に行動できるように放っておくことが大事です。
キャリーに自分から入る姿が見れれば、キャリー=安心安全なものとして認識している証拠です。
3.ねこが必ず行くところにキャリーを置く
キャリーをインテリアの一部として部屋に置き、ある程度時間が過ぎたら次は1つステップアップしてみましょう。
例えば、キャットタワーの近くに置いてみたり、ごはんを食べる場所の近くに置いてみたりして下さい。
キャリーを恐がる様子があるなら、遠いところから少しずつ近づけていきます。
ねこが必ず行くところにキャリーを置き慣らしていきましょう。
この時、キャリーの置き場所としてねこのトイレの近くに置くのはやめましょう。
もしキャリーを恐がってしまうとトイレに行くのもストレスになります。
トイレがストレスになると、他の場所で粗相をするようになったり、膀胱炎の原因になったりすることがあります。
ねこの様子を見ながらゆっくりと挑戦してください。
4.キャリーの中に楽しみをつくる
ねこがキャリーを恐がらず、生活環境の一部として認めはじめたら、さらに次のステップに進みましょう。
キャリーの中にキャットフードやおやつなどを置き、キャリーの中に入れば楽しみがあることを教えていきます。
フードやおやつ以外にも、ねこが好きなおもちゃがあれば、それをキャリーの中に投げ込み、ねこに取ってきてもらう遊びをすることもおすすめです。
「キャリーの中に入れば楽しみがある」
ねこにそう思ってもらえれば、ほぼ目的は達成です。
あとはこれを繰り返していくことで、キャリーの中は安心安全な空間だと思うようになってくれるでしょう。
動物病院という苦手な場所に行ったとしても、キャリーの中なら安心して過ごせる子になれば、多少ストレスが少なくなるはずです。
猫をキャリーに慣れされる時の注意点
猫をキャリーに慣れさせる際の注意点をお伝えします。
徐々にキャリーに慣らすように
焦りは禁物です。
まだ幼いねこならキャリーに慣れることにあまり時間はかからないでしょう。
しかし、大人のねこ、しかもキャリーが恐いものと思っているねこは慣れるのに時間がかかります。
焦ると余計にキャリーを嫌いになってしまうので、ゆっくりと時間をかけて進めていくといいです。
まずは、部屋の片隅にキャリーを置くことから始めてみてください。
こんなねこは難しいかも
残念ながら、すべてのねこがこの方法でキャリーに慣れてくれるわけではありません。
ねこの性格も関連してくるでしょう。
特に何に対しても恐がってしまうことが多い子はなかなか難しいかもしれません。
ゆっくり時間を掛ければ慣れる可能性もあるので、ねこの様子を見ながら慎重に実行しましょう。
また、すでに病院への通院歴が長い、通院頻度が多いねこも難しいことがあります。
こういう子たちは、キャリー=恐いという認識が強くなっていることが多いです。
キャリーを部屋に置いておいても、そこを避けるように生活をするかもしれません。
同様にゆっくりと時間を掛けて挑戦してみましょう。
中にはこんな子もいます。
キャリーには慣れたけれども、車に乗せると鳴く、暴れるねこや、動物病院に着いた瞬間鳴き出すねこなど。
ねこにもいろんな子がいますね。
わが家の猫の例を紹介
わが家のねこは、キャリーの中に入ること、キャリーでの移動を嫌がることはありません。
まだ若いので持病はなく、1年に1回ワクチンをうつために動物病院(職場)へ連れていきます。
慣れていない場所は恐がるねこです。
なので病院へ連れていくと恐くてじっとしてしまうタイプです。
病院ではキャリーの中でじっとしています。
おそらくキャリーの中の方が安心できているんだと思います。
キャリーは今は水飲み場の下にこんな風に(写真左)置いています。
キャリーのことは気にせず自然に水を飲みに行っているので、キャリー=恐いものという認識はないようです。
そして、キャリーの中にフードを入れるとすんなりと中に入って食べ始めます。
入ること自体も抵抗はないようです。
わが家のねこは、家の中では好奇心旺盛に目新しいものにはすぐに寄ってくるタイプなので、比較的スムーズに慣らすことができました。
キャリーに入っていれば車の中でも病院でもおとなしくしていてくれるので、とても楽です。
まとめ
「キャリー=動物病院に連れていかれる=恐い」という考えから「キャリー=恐いもの」という認識につながっています。
また、恐いものであるキャリーが突然現れることもねこにとってはさらに恐怖となっています。
いきなり「キャリー=好きなもの」と認識させるのは難しいことが多いです。
なので、まずはキャリーの存在に慣れてもらうことから始めていきましょう。
重要なポイントとしては、焦りすぎないことです。
ゆっくりと時間をかけて進めていくことで、あなたもねことの友好な関係を築くことができるでしょう。
最後まで読んで下さってありがとうございました。
ねことの幸せな時間を大切に。
こちらはわたしが使用しているキャリーです。
茶色とピンク色の2色があります。
このキャリーの良いところは、扉が2か所あること、組み立てが楽なところです。
獣医師側の立場からも、キャリーの中にねこが入ったままでも注射などの処置がしやすいというメリットがあります。
こちらのキャリーも上のキャリーと似たタイプなので使いやすそうです。
上についている扉の開閉向きが違います。
アイリスオーヤマのキャリーは他にも種類があります。
↓ こちらからチェックしてみて下さいね。
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